第10章 番外編 猫
そこにいた杏はしのぶと不死川だけの話になり退屈になってしまったのか、床に座り込み、棚にもたれかかって居眠りしていた。
猫耳は少し垂れ、尻尾も力なく垂れている。
し「会話に参加していないとはいえ、こんな大事な話をしているときに眠ってしまうなんて杏さんらしくもありません。」
肩をすくめながら微笑むしのぶ。
不「そうだなァ。」
し「まぁ、日常生活に特に影響はないと思いますけど、気をつけてあげてください。」
不「あァ…。そろそろ猫も来るだろうし失礼するぜ。」
し「はい。何かありましたら鴉を飛ばしてください。いつでも駆けつけますので。」
不「あァ。」
しのぶに背を向け、眠っている杏を軽く揺するも起きる気配がない。
不「ったく、しょうがねぇなァ。」
杏の背中と膝裏に手を入れ、そっと抱き上げる。
不「じゃ、世話になったなァ。」
し「はい、お気をつけて。
今の杏さんおどろく程可愛らしいでしょうけど、頑張ってくださいね。」
不「…あァ。」
しのぶの誂いに小さく舌打ちをしながら目を逸らす。