第10章 番外編 猫
行き場のない手をとりあえず引っ込めながら首を傾げる杏。
杏(…怖がられてる??)
自分の手を見ながらそう考える杏。
不「おィ、胡蝶。なんかよくわからねぇがこいつは顔色が悪いって心配してんぞォ。」
黙って見ていた不死川が困惑している杏の代わりに口を開く。
し「……すみません、実は猫は苦手で…。」
不死川の言葉に観念したのか、言いづらそうに呟くしのぶ。
あー、と納得した不死川はちょいちょいと杏の耳を突く。
不「そういうことかァ。
たが、耳と尻尾だけだぞ。」
『っ、にゃにゃにゃん!!
(触らないでください!!)』
杏は素早く不死川の手を振り払い、フシャーッ、と猫のように威嚇する。
不「あァ、悪ィ悪ィ。」
思っていたより怒っていた杏に慌てて謝るも、そんな不死川をスルーした杏はふと思いだしたように呟いた。
『にゃん、にゃにゃにゃんにゃあにゃん…。
(それじゃあ、あの猫たちは…。)』
不「あァ、確かになァ。」
あー、と空を仰ぐ不死川。
し「なんです??」
相変わらず杏とは距離をとっているしのぶだが、大事な話だろうと会話に参加する。
不「これからここに猫が来んだよ。沢山なァ。」
し「え??」