第10章 番外編 猫
杏は不死川の背後に隠れるように立っているため、不死川がしのぶの問いに答える。
し「あら、どこか怪我でも??」
不「そういうわけじゃあないんだが、ちょっと血気術をくらってなァ…」
し「血気術を!?はやく中へ!!」
血気術という単語で顔色を変えたしのぶは慌てて2人を中へと通す。
診察室までたどり着くと、少し落ち着いたのか座って話し始めた。
し「それで、どんな血気術なんですか??」
不「見たほうがはやいだろうよォ。」
そう言い、杏に視線を送る不死川。
杏は静かに不死川の背後から出てきてしのぶの正面に立つ。
そして、腰に巻いてある自らの羽織と頭に被っている不死川の羽織をとった。
し「…っ!!これは…」
不「人間を猫に変える鬼でなァ。斬った後にかけられたから完全ではないみたいだが、流石にこれじゃあなァ。」
不死川は事の顛末をしのぶに説明する。
しかし、しのぶは少しずつ後ろに下がっていく。
不「胡蝶??」
そんなしのぶの不審な動きに不死川が名前を呼ぶ。
し「…とりあえず、血気止めを出しておきますね。完全なものではないなら、薬を飲んでお日様をたくさん浴びれば戻るでしょう。」