第10章 番外編 猫
不「っ、…森出るからそれ被っとけェ。」
不死川はそっぽ向きながら羽織を落とした意図を伝える。
不死川のその言葉に首を傾げながら頭の上の羽織に触れる。
『……………に??(え??)』
杏の手に当たるのはピクピクと動く謎の物体。
思わず固まっていると、そんな杏を見て不死川があァ、と呟く。
不「お前、気づいてなかったのかァ。
猫耳と尻尾ついてんぞォ。」
『……………にゃにゃにゃあ??
(嘘ですよね??)』
不「本当だよォ。」
信じられない杏の視界にフラリと揺れる尻尾が入る。
思わずぎゅっと掴む。
『………にゃにゃあ。
にゃにゃにゃあにゃあにゃにゃあ??
(………痛い。本当に私の??)』
猫耳と尻尾に触れながら頭の中を整理する杏。
そして出た結論は………
『にゃにゃにゃあにゃあにゃあにゃにゃん。
(蝶屋敷へいそぎましょう。)』
不「あァ。」
とりあえず不死川の羽織を被り、猫耳を隠す。
不「尻尾はどうする??隠れてねぇぞォ。」
尻尾がけっこう長く、スカートの下に入れようと思ったがうまく入らない。
うーん、と杏が悩んでいると不死川が腰あたりを指差しながら口を開く。