第10章 番外編 猫
抱き上げたことによってか、意識が戻ってきた杏が身動ぐ。
その揺れとは別に杏を抱き上げた不死川の腕にモフモフとしたものがあたる。
不審に思い、視線を落とす。
『んっ、』
不「……………。」
モゾモゾと不死川の腕の中で動く杏。
不「…猫の耳と尻尾??」
杏が動くのに呼応するようにピクピクと動く猫耳と揺れている尻尾を見て固まる不死川。
不死川が石のようにピシッと固まっている中、その腕に抱かれている杏の意識が覚醒していく。
杏(ん……、不死川さん??)
妙に近い顔にパチパチと何度も瞬きをする。
杏(…あぁ、確か最後に何かくらって…そこから記憶がないってことは気を失ってたのね…。
それで抱きあげられているって感じかしら??)
杏が目を覚ましたというのにまったく動く気配のない不死川の腕の中で状況を整理する。
杏(と、いうか…この人いつまで固まってるつもりかしら。そろそろ下ろしてほしいのだけど…。)
そろそろ下ろしてもらおうと、杏は不死川の名前を呼ぶために口を開く。
『にゃあ!!(不死川さん!!)
……………に??(え??)』
しかし、杏の口から漏れたのは猫の鳴き声。