第3章 壊された幸せ
ようやく玄関までたどり着いた2人が見た光景は地獄だった。
血を流し、横たわるもみじ。
そんなもみじを庇うように目の前にいる相手を睨みつける傷だらけのゆり。
つ「ゆり姉さんっ!!もみじっ!!」
『ゆり姉さんっ!!もみじ姉さんっ!!』
2人の元へ駆け寄るつばきと杏。
ゆ「っ!!来ちゃダメ!!逃げなさいっ!!」
つ「っ!!」
迷惑客を追い出すときでさえ、声を荒げることはないゆりが怒鳴るように2人に叫ぶ。
思わず立ち止まるつばき。
杏は止まらなかったが、つばきに手を引かれ、つばきの腕の中に収まる。
『つばき姉さん…??』
不思議そうにつばきを見つめる杏。
ゆ「はやくっ!!はやく逃げなさいっ!!」
童「こらこら。」
ゆ「うっ、」
焦ったように叫ぶゆりの手を後ろ手に拘束する虹色がかった瞳、白橡色の髪の男。
男の右目には“上弦”、左目には“弐”と書かれていた。
童「ダメじゃないか、2人を逃がそうとしたら。
そんなことしたら、あの娘たちだけ救われなくなってしまうんだよ??」
ニコニコしながらゆりの耳元で話す男。
『…だれ…なの…??』
震えながらも必死に声を絞り出す杏。
そんな杏の問いに男はニコニコしながら答える。