第10章 番外編 猫
そのまま飛び上がり、距離をとる。
杏(いつの間に背後に…。あの鬼、思っていたより強いのかもしれないわね。)
不死川の隣に着地する。
『不死川さん。大丈夫ですか??』
不「あァ。しかし、意外とやるなァ。」
鬼の爪が掠めた横腹を軽く抑え、立ち上がる不死川。
『ですね。』
不「まァ、本番はこっからだけどなァ。」
そう言い、怪我した左脇腹をグッと押す。
『…またしのぶさんに叱られますよ。』
ポタッ、ポタッ、と落ちる不死川の血を見ながら小さく呟く杏。
鬼「…なに??この香り…」
クンクンと、あたりの匂いを嗅ぐ鬼。
不「使えるもんは何でも使う。
それにこっちの方が早ぇだろォ。」
『確かに早くは終わりますが…。』
杏(心配してるのはしのぶさんだけじゃないのに…。不死川さんの阿呆。)
心の中で若干不貞腐れる杏。
不「やるぞォ。」
しかし、そんなことは知らないし気づかない不死川は鬼を血走った目で睨みつける。
『…はい。』
渋々返事をし、刀を構える杏。
鬼「なんだかふわふわするわねぇ。」
鬼は足を縺らせている。