第10章 番外編 猫
砂埃の中から現れた鬼はまるで昔話にでも出てきそうな猫耳の生えた美しい容姿をしていた。
鬼「アナタ、可愛いわねぇ。とっても可愛いわぁ。ワタシの愛玩動物にしたい…。」
恍惚の表情を浮かべながら杏をじっと見つめる。
『……残念ですが、私は人ですので。
愛玩動物にはなれませんね。すみません。』
一瞬、固まりつつもいつも通り笑顔で返す杏。
杏(猫たちは………大丈夫ね。思わず飛び退いちゃったけど、受け止めればよかったわ。)
チラッと檻の下の方を見て、猫たちの安否を確認する。
不「お前は妙なもんに好かれるなァ。」
離れた位置にいた不死川が杏の隣に移動してくる。
『えぇ、本当に…。今回のは特にですよ。』
不死川の言葉に同じように溜息をつきながら返す。
鬼「隣のアナタは可愛くないわねぇ。
可愛くない子はいらないのよぉ。」
『…ふふっ。』
不「笑ってんじゃねェ。
俺にそんなもん求めんな。」
不死川を見た鬼の言葉に思わず吹き出す杏。
不死川はそんな杏を小突きながら刀を鬼に向ける。
鬼「そっちの可愛い子はこちらへいらっしゃいな。美味しいお菓子をあげるわよぉ。」