第10章 番外編 猫
『…気配が分かりやすすぎませんか??』
森の中のある一点に向かい、走る2人。
『それに特に強い鬼、というわけでもないようですし…。』
不「確かになァ。」
鬼の気配のある方角だ。
分かりやすいほどの気配だが、特別強そうな気配ではない。
『強くなさそうなのにこれ程までの存在感…変な感じですね。』
不「…近いぞ。」
刀に手をかけながら辺りを見渡す。
『っ!!あれは…??』
杏の視界の端に何かが映り、それに近づく。
『…檻??人は…いないようね。』
杏(なんでこんなところに檻が…??)
「ニャー。」
首を傾げていると、下から声がすることに気づく。
『…猫??』
声のする檻の下の方を覗き込むと沢山の猫たちがいた。
ますます訳がわからなくなり、眉をひそめる。
──ガサッ
不「音白!!」
──ドンッ
物音と不死川の声に反応し、その場から飛び上がる杏。
上から先程までいた場所を見下ろすと、砂埃が舞っている。
そのまま少し離れたところに着地する。
『急になにするんです??
驚いたじゃないですか。』
刀に手をかけ、微笑みながら自らを襲ったモノに話しかける。