第10章 番外編 猫
杏の呟きに反応するサクラ。
『いつもなら玄関先で準備済ませて待ってるのに今日はまだいないのよ。』
サ「ソウイエバソウダッタワネ。」
少し速度を上げ、不死川邸の正面に着いた。
玄関先に立ち、息を大きく吸う。
『ごめんくださーい!!』
大きめの声で呼びかけるが反応はない。
サ「留守カシラ??」
『いいえ…、気配はするからいらっしゃるとは思うけど…。』
辺りを見回し、庭の方へ足を進める。
サ「アラ、入ッテイイノ??」
『えぇ。』
──ドドドドドドドドッ
向かっていた庭の方から物凄い音が聞こえてきた。
『鍛錬中なのかしら。』
鍛錬中なら杏が屋敷に入ってきたことに気づかなかったのも頷ける。
ヒョコっと庭を覗くと、藁の人形にひたすら木刀で打ち込んでいる不死川の姿が見えた。
『サクラ、上で待ってて。』
肩の上のサクラに上へ飛ぶよう促す。
──バサッ
サクラが上空へ飛び立ったところを確認し、庭へと足を進める。
『不死川さん。』
杏が呼びかけると、ピタリと動きを止める不死川。