第9章 夢
杏もせっかくの着物を汚さないためにもあまね様の少し後ろに座る。
お「杏、君のこれからについて少し話していたんだ。」
『私のこれから…ですか??』
首を傾げる杏。
お「あぁ。いつまた倒れるかわからないからね。
君を1人にはできない。
任務については合同任務とすること。
そして、所在については柱の誰かの屋敷、というような意見がでている。」
お館様の言葉に少し考え込むように下を向く杏。
『…任務の件はそれでお願いします。
ですが、私は屋敷を出たくはありません。』
真っ直ぐにお館様を見て答える杏。
宇「はっ!?」
甘「杏ちゃん…??」
柱たちが驚くなか、杏は静かにお館様を見続けていた。
お「理由を聞いてもいいかな??」
『…あの屋敷には私の大事なものがたくさんあります。鍵のかけてある部屋も…倒れる前より、あの部屋が大事なものなのだとハッキリとわかります。
あそこから離れたくない。
あそこにいればきっと記憶を取り戻せる…そう思うのです。』
お「そうか…。」
杏の言葉に誰も何も言えなくなっていたとき、これまで黙っていた不死川が口を開いた。