第9章 夢
お「あまね、支度は終わったのかい??」
あ「はい。こちらへどうぞ。」
あまね様が後ろを振り返り、後にいた者を中へと通す。
──カサッ
屋敷に衣擦れの音が響く。
お「皆、顔を上げておくれ。」
お館様の言葉に一斉に顔を上げる。
不「っ!!」
し「あらあら。」
宇「ほぉ!!」
時「…杏さん。」
甘「とっても素敵だわ!!」
顔を上げた柱たちの瞳に映ったのは綺麗に着飾られた杏だった。
長い髪は綺麗に結われ、簪はいつもより少し派手なものになっている。
紅梅の咲き乱れる着物に鮮やかな黄色の帯。
化粧も施されており、口元と同じ色の紅が目元にも入っている。
『…お久しぶりでございます。』
スッと軽く頭を下げる杏。
そんな杏を柱たちは口々に褒めるが、不死川だけは未だ呆然として立ち尽くしている。
冨「どうした、不死川。」
冨岡に声をかけられるもいつものように食って掛からない。
杏は柱たちに囲まれながら、ピクリとも動かない不死川をジッと見ていた。
お「さぁ、皆。会議を再開しようか。」
この言葉で元の位置に戻っていく柱たち。