第9章 夢
し「つまり、杏さんが倒れたのは精神的なダメージによるものだと考えられます。」
伊「精神的なものか…。」
し「えぇ。
杏さんで精神的なものといえば……あぁ、」
途中ではた、と言葉を止めるしのぶ。
皆が首を傾げていると後ろを振り返る。
し「ここにいらっしゃる方々の中では…善逸くんと伊之助くんだけですかね。」
善.伊「??」
しのぶの言葉にキョトンとした顔をする善逸と伊之助。
そんな2人に微笑みながら言葉を続けるしのぶ。
し「杏さんは幼い頃の記憶がありません。」
善.伊「っ!?」
目を見開き、驚く2人。
しかし、そんな2人のことは放置して話を進めていくしのぶ。
し「恐らく、上弦ノ参に遭遇したことで記憶が刺激されたのだと思われます。頭痛はそれによるものでしょう。」
悲「胡蝶。それは記憶が戻りかけている…ということか??」
手を合わせたままの状態の悲鳴嶼が静かに口を開く。
し「…おそらく、そうでしょう。
目覚めてからも時折、頭痛があるようです。」
悲「…そうか。」
炭(…なんだろう。
なんだか少し、悲しそうな匂いがする…。)