第9章 夢
一瞬固まったあと、笑顔を見せてはいたがあれは彼女の本当の笑顔ではなかったことに気づいていたお館様。
お(……記憶が戻りかけると頭が痛むのかな。)
杏はお館様の前では頭が痛む様子など見せなかったはずだが、感じ取っていた。
お「…あまね。しのぶを呼んでくれるかい??」
あ「胡蝶様ですか??」
お「うん。とりあえず、しのぶに杏の容態を診てもらおう。」
あ「かしこまりました。」
鴉を飛ばすために部屋を出るあまね様。
部屋に1人になったお館様は部屋に輝利哉様を呼ぶ。
輝利哉様は黙ってお館様の正面に座る。
お館様は輝利哉様の動きがわかっているかのように、座ってすぐに口をひらいた。
お「杏の中の時間が動き出した…。
無惨か上弦ノ弐かはわからないが鬼が欲していると思われる少女だ。
あの子の記憶が完全に戻ったとき、私たち鬼殺隊と鬼たちのこの膠着した時間も動き出すだろう。
恐らく、もうそんなに先のことではない。
………輝利哉。わかっているね??」
輝「はい。」
迷わず、まっすぐ返事をする輝利哉様にお館様は微笑む。
お「それに、杏を鬼たちにやるわけにはいかない。」