第9章 夢
お館様が言った後すぐに頭の中に響いた声に思わず固まる。
お「杏??どうかしたかい??」
固まった杏を心配したお館様が杏の顔を覗き込む。
『ぁ…、いえ、何でもありません。』
ハッ、とした杏は慌てて笑顔を取り繕う。
お「そうかい??
…それじゃあ、ゆっくり休んでおくんだよ。
明日か明後日には柱たちも集まると思う。」
『はい。』
お館様に頭を撫でてもらい、柔らかく微笑む杏。
そんな杏を見て、お館様も満足げに微笑む。
そのままお館様は部屋から出て行った。
杏(さっき聞こえた声…。
夢で聞こえた声と同じ…。)
部屋から見える庭園を眺めながら考える杏。
杏(…あの声の人は、私の…家族、なのかしら。)
少しズキッ、と痛む頭に手をあてる。
『…はぁ、考えても仕方ないか。寝よう…。』
小さくため息をつき、呟いた。
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あ「どうでございましたか??」
戻ったお館様にあまね様が声をかける。
お「少しずつ戻っているかもしれないね。」
先程の杏の様子を思い出すお館様。