第9章 夢
鬼の情報じゃなくていいよ、と続けるお館様。
お館様の言葉に顎に手を当て考える杏。
『…実は、夢を、見ておりました。』
お「夢??眠っている間にかい??」
『はい。』
コクリ、と小さく頷く。
『とても、不思議な夢でした。
何もない、暗闇の中をただひたすら下に落ちていくだけの夢でした。』
自身の手のひらを見ながらも夢のことを思い出す。
『落ちている途中に、たまに見たことのない映像が流れてきていて………名前を、私を呼ぶ声が聞こえてきました。』
お「杏を呼ぶ声…。」
『確か…、4人です。1人は最後に聞こえたお館様のお声でした。しかし…あとの3人の声が誰だかわからないのです。』
見ていた手のひらをグッ、と握る。
お「女性の声だったかい??」
『…はい。女性の声でした。』
杏の答えを聞き、
お(上のお姉さんたちの声かもしれない…。)
と、思考を巡らせるお館様。
お「その声を聞いて、どう感じたか教えてもらってもいいかい??」
少し、緊張した面持ちで杏に問いかけるお館様。
『…わかりません。聞き覚えがあるような気はするのですがわからないんです。』