第9章 夢
『…あのとき、頭痛がしたとき、見たことのない映像が流れてきました。』
お「見たことのない映像…??」
『はい。あの鬼の瞳を見たとき、今までに経験したことのない頭痛がしました。』
お「瞳…。」
『十二鬼月は基本、下弦であれば片方の瞳に数字が、上弦であれば上弦という文字と、数字が左右の瞳に刻まれています。それを確認しようと目を見たときに頭痛がしました。』
お「………ふむ。」
お(ということは、幼い頃に会った上弦ノ弐の瞳にも上弦と刻まれていたはず。同じものを見たせいで記憶が刺激されたのか…。)
少し考え込むお館様。
お「どのような映像だったか、教えてもらってもいいかい??」
『はい。あれは…ある男の足元に3人の少女が血を流して横たわっていました。』
お「どんな男だった??」
『とても、特徴的な見た目でした。虹色がかった瞳で、白橡色の髪の人間離れした容姿の男でした。』
お(やはり…、事件のときの記憶が戻りかけたのか。)
お「そうか…。ありがとう、杏。」
『いえ、他には何かございませんか??』
お館様の礼の言葉に、ゆるく頭を振る杏。
お「そうだね。
じゃあ、杏が何か気になったことはないかい??」