第9章 夢
──パチッ
目を覚ました杏の視界に広がったのは見覚えのある、懐かしい天井。
どうやら布団で寝かされているようだ。
ゆっくりと起き上がる。
『………産屋敷邸。
部屋も、あの頃と同じ…変わってない…。』
周囲を見渡しながら小さく呟く。
枕元に置いてある手ぬぐいや水を見て、あまね様が看病してくれていたのだと気づいた。
杏(…あれ??でも、なんで看病??
私怪我なんてしたかしら??)
自分の身体を見て傷がないことを確認する。
杏(傷はない…。
…………あぁ、そうか。思い出した。)
煉獄の救援に向かった先で…、上弦ノ参に出会った。
杏(確か、あの鬼の位を確認しようとして…右目を見た瞬間、頭痛と共に見たこともない映像が流れてきて…。)
顎に手を当てて考え込んでいると、
──コンコン
あ「失礼いたします。」
襖が開き、あまね様、ひなき様、にちか様がいらっしゃった。
『お久しぶりです。
あまね様、ひなき様、にちか様。』
起き上がった状態で3人に微笑む杏。
あ「杏様!?
…ひなき、にちか。急ぎ、お父上に報告を!!」
ひ.に「はい!!」