第9章 夢
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──ゴポゴポ…
ただひたすら下に落ちていく。
周囲は真っ暗で何も見えない。
まるで真っ暗な海の中に沈んでいくよう…
たまに、見たことのない映像が流れてきて自然と涙が溢れていた。
?「杏ちゃん。」
?「杏。」
?「杏。」
聞き覚えのあるような、ないような。
はっきりとしない声が響く。
知っているような、知らないような。
思い出したいような、……………怖いような。
自分がどうしたいかわからない。
私は、だれ………??
この声は、だれ…………??
わからない。
怖い。
そのとき、
?「杏。」
暖かい声が聞こえた。
わからないけど、いつだって包んでくれた暖かい声。
?「帰っておいで。君の家へ…。
ここが、君の家だ。」
暖かい声がする方向からさらに、暖かい光が差す。
ただ、ひたすら下に落ちていくだけの、冷たい身体を包み込んでくれる暖かな光。
光が溢れるところへ手を伸ばした。
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