第9章 夢
高鳴る心臓を落ち着かせ、深呼吸をする。
し「ありがとうございます。」
お「大丈夫だよ。あとひとつ、薬草の知識に秀でたしのぶに聞きたいことがあるんだ。」
し「なんでしょうか。」
お「“青い彼岸花”…という花を聞いたことはあるかい??」
し「青い彼岸花…ですか?」
首を傾げるしのぶ。
流石に聞いたことのない花の名前のようだ。
し「そのような花は聞いたことはありませんが…なにかあるのですか??」
お「実は、上弦ノ弐が言っていたみたいなんだ。
杏のことを“青い彼岸花の君”…とね。」
し「杏さんのことを…??」
杏の姿を思い浮かべるが、杏のどこにも“青”の要素も“彼岸花”の要素も感じない。
し(どちらかといえばうちのアオイの方が“青い彼岸花”って感じしますけど…。)
さらに頭をひねるしのぶにお館様は続ける。
お「“青い彼岸花”には何かあると思ってね…。
この7年もの間ずっと調べているのだけど、何の情報も手に入らなくてね。」
困ったように笑うお館様。
それを見たしのぶはあることを悟った。
し「…杏さんの記憶だけが頼りなのですね。」