第9章 夢
アオイの胸の中にはもし何かあったら…、という言葉が思い浮かんだが、すぐに打ち消し力強く頷く。
ア「はいっ!!お任せください!!」
そんなアオイに満足げに微笑むしのぶ。
し「ありがとう、アオイ。」
ア「いえ!!あ、杏さんの退院の準備してきます!!」
元気に診察室を出ていくすっかり強くなった可愛い妹の後ろ姿を見送り、空へと視線を移す。
脳裏に浮かぶのはまだ生きている姉と2年前のアオイやカナヲ、きよ、すみ、なほたちが楽しそうにしている姿。
し「姉さん……。
アオイもカナヲも…強くなりましたよ。」
そんなしのぶの呟きは空へと溶けていった……。
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お「突然すまないね、しのぶ。」
し「いえ、杏さんをどうぞよろしくお願いいたします。」
産屋敷邸の一室で向かい合うお館様としのぶ。
し「お館様、文にあったことですが…」
お「あぁ、杏が目覚めないことについてだね。」
し「はい。原因がわかったとありましたが…。」
しのぶが産屋敷邸へ赴いたのはあまね様に説明をするということもあるが、それは手紙でもいいことだった。