第9章 夢
そのため、ケガの大きさに対してそこまで大袈裟な手術にはならなかった。
完璧な処置を終え、包帯を巻いていく。
し「さぁ、あとは煉獄さん次第ですよ。
はやく目覚めてくださいね。」
胸に手を置き、心臓が動いているのを確認し呟くしのぶ。
し「さて、どちらかというとこちらのほうが厄介なんですよね…。」
煉獄の隣に寝ている杏に視線を向ける。
外傷はほとんど、というより全くない状態。
脈や呼吸も正常。
なのに、意識を失い今もまだ眠り続けている。
し(炭治郎くんは…突然頭を抑えて苦しみだした、と言っていましたね。
……頭痛でもおきたんでしょうか。)
頭の中で仮説を立て、杏の頭に触れる。
し「………やはり、異常はありませんね。」
小さく呟き、ため息をつくしのぶ。
ア「しのぶさま。少しよろしいですか??」
炭治郎の処置をしていたアオイがしのぶを呼ぶ。
し(……このままでも容態が急変することもないでしょう。)
し「えぇ、大丈夫よ。どうしたの??」
杏の安らかな寝顔を見て小さく微笑み、アオイの方へ向かう。
ア「ここの処置なんですが……こんな感じでいいでしょうか。」