第8章 無限列車
猗窩座の頸を討ち取ることを諦めた杏は近づいてくる猗窩座から距離をとっていた。
杏(今はもう、太陽が昇っている。
木陰を作り出している枝を切れば、猗窩座も逃げ出すはず…!!)
作戦は頭にある。
しかし、あまりの頭痛に身体が思うように動かない。
それどころか意識が朦朧としている。
気を抜けば意識を失ってしまうだろう。
杏(どうしよう、どうしよう、どうしよう…!!)
歯を食いしばりながら猗窩座と視線をぶつけ合う。
その瞬間───────
──ザッ
突然聞こえた草の音に弾かれたように視線を向ける。
そこには、飛び上がっている炭治郎と伊之助の姿があった。
『炭治郎くん!!伊之助くん!!』
目を見開き、思わず声を上げる。
伊「あんこぉ!!後は任せとけ!!」
伊之助が元気に刀を振り下ろす。
──ザクッ
猗「ぐっ、」
伊之助が切った枝の隙間から陽光が差し込んだ。
猗窩座は堪らず飛びのく。
炭治郎も続けて枝を切っていく。
猗(これ以上木陰をなくされる前にここを離れなくては…!!)
次第に広がっていく陽光に危機を感じたのか猗窩座は3人に背を向けて走り出す。