第8章 無限列車
杏(…え??)
──ズキン
『ゔっ、』
突然の頭痛に思わず呻き声を上げる杏。
激しい痛みのなか、脳裏に映像がよぎる。
猗窩座と同じ、瞳に“上弦”の文字が彫られた男の顔。
虹色がかった瞳、白橡色の髪をもつ男の周りに3人の少女が血を流し、横たわっている。
『はっ、はっ、はっ、…ゔぅ…。』
杏(これは…なに…??こんなの、知らない…。
見たことない…。)
痛む頭を抑えながら目の前にいる猗窩座を睨みつける。
猗「突然どうした??顔色が悪いぞ。」
心配するように近づいてくる猗窩座。
『…っ、大丈夫ですよ…??
こちらへ来ないでください。』
少し後ずさりながら必死に震える唇で言葉を紡ぐ。
猗「心配せずとも、俺は女を殺す趣味はない。」
どんどん近づいてくる猗窩座。
杏(……まずい、今、来られたら…戦える??
っ、仕方ない、追い返す、滅殺は…できない…。)
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一方、その頃──
突然の杏の登場に驚きながらも、未だ涙が止まらない炭治郎は森の方を向いていた。
炭「うっ、ううっ…。」
煉「………。」
炭治郎の叫んだ言葉にキョトンとした顔を浮かべていた煉獄は柔らかい笑みを溢す。