第8章 無限列車
杏がそちらの方角に方向を変え、走りだそうとした瞬間、炭治郎が叫んだ。
炭「逃げるな卑怯者!!逃げるなぁ!!
いつだって鬼殺隊は、お前らに有利な夜の闇の中で戦ってるんだ!!
生身の人間がだ!!傷だって簡単に塞がらない!!
失った手足が戻ることもない!!逃げるな馬鹿野郎!!
馬鹿野郎!!卑怯者!!
お前なんかより、煉獄さんの方がずっと凄いんだ!!
強いんだ!!煉獄さんは負けてない!!
誰も死なせなかった!!
戦い抜いた!!守り抜いた!!
お前の負けだ、煉獄さんの…勝ちだ!!」
炭治郎の言葉を聞き、小さく微笑む杏としのぶ。
『…行きます。』
し「お気をつけて…。」
煉獄の方に向けていた足を炭治郎の方に向け走り出す杏。
しのぶはそのまま真っ直ぐ煉獄の元へ向かう。
炭「ゔああああああッ ああああああ゙ッ!!」
──トンッ
叫びながら泣きじゃくる炭治郎の肩を軽く手で叩く杏。
炭「…っ、杏さ…!!」
自分の肩を叩いた者の顔を見て目を見開く炭治郎。
しかし、杏は炭治郎の方は一切見ず、険しい表情で鬼の方を見据えている。