第8章 無限列車
真っ直ぐ鬼を見ながら力強く話す杏の言葉にしのぶは頷く。
し「無茶はなさらないでくださいね…。」
『はい。今回はあの鬼を滅殺することより、追い払うことに尽力します。』
もうすぐ追いつく、という瞬間、何処から現れたのか炭治郎と伊之助が飛び出す。
鬼の頸にも半分ほど煉獄の日輪刀が入っており炭治郎と伊之助に警戒したのか、頸に食い込んでいた日輪刀を折り、煉獄を貫いていた自らの腕と煉獄に掴まれていた腕をちぎり飛び上がる。
そのまま陽光を避けるように森の中へと逃げ込む。
『っ、あの鬼っ…!!』
あまりにも速い逃げ足に思わず舌打ちする杏。
杏(もう少し…もう少しで追いつく…!!)
しかし、焦りを浮かべた杏の瞳に映ったのは炭治郎が己の日輪刀を鬼に向けて振りかぶっていた瞬間だった。
──ブンッ
杏(刺さったの…??)
杏の位置からは鬼の姿が捉えられないため、よくわからない。
しかし、杏の顔に小さな笑みが浮かぶ。
杏(ありがとう、炭治郎くん。
おかげで鬼が逃げている方角がわかったわ…!!)
炭治郎が刀を投げた方向に視線を向ける。