第8章 無限列車
2人の目に写った光景は鬼の腕が煉獄の身体を貫いているものだった。
『っ、まだ遠い…!!』
杏(加勢にいけない…!!)
し「…っ、」
し(良くは見えないけど、貫かれてるのは鳩尾…。急がないと処置が間に合わない…!!)
自分たちと煉獄たちとの距離にどうしようもなく唇を噛む杏としのぶ。
遠目に煉獄が鬼に向かって日輪刀を振り下ろす姿が見えた。
し「っ、あんな身体で…!!」
煉獄の無茶としか思えない行動に思わず声を上げるしのぶ。
危機を感じたのか煉獄の身体に貫通していない修復された左腕を振りかざす鬼。
しかし、煉獄も刀を握っていない左手でその腕をとめる。
『…なんてこと。』
鳩尾を貫かれているはずの煉獄の信じられない力に思わず呟く。
必死に走る2人の横目に山から昇る太陽が見えた。
し「夜明けです!!」
杏(太陽…!!陽光さえさせば、あの鬼は逃げの一手に転じるはず…!!)
『追いつけたらしのぶさんは煉獄さんをお願いします!!』
し「わかりました。杏さんは…。」
『私は…あの鬼を追います。
治療中の煉獄さんには指一本触れさせません。』