第8章 無限列車
──ゴトッ
床に転がる鬼の頸。
刀をかるく振り、鬼の血を落とす杏。
し「お見事です、杏さん。」
『ありがとうございます。』
刀を鞘に収めたしのぶがこちらへ向かってくるのを見ながら自分の刀も鞘に収める。
消えていく鬼に手を合わせる。
し「戻りましょうか。」
『そうですね。』
屋敷の中に他の鬼の気配がないことを確認し、屋敷を出る。
し「それにしても、結局どうして村の人たちや一般隊士たちは喰われていなかったのでしょうか…。」
外傷がなく、血も流しておらず、死んでいなかった理由は毒のせいだとわかってもその理由だけがわかっていなかったので首を傾げるしのぶ。
『あぁ、それはわかりましたよ。』
しのぶの疑問にしれっと答える杏。
し「なぜです??」
しのぶは余程気になっていたのかすぐに尋ねる
『部屋に入る前に聞こえた鬼の言葉…。
おそらく、数を喰えなくなったのでしょう。
より多くの人間を喰らわなければ強くはなれない。
それが理由で十二鬼月を降ろされたのだと思います。』
し「そんなこともあるのですか。
よくご存知ですね…。」
顔色1つ変えることなく淡々と告げる杏に目を見開きながら呟くしのぶ。