第8章 無限列車
し「えぇ。急ぎましょう。」
室内へと足を踏み入れる。
日輪刀に手をかけながら進んでいく。
し「杏さん、背後に気をつけてください。
首筋に毒を打たれるみたいです。」
『わかりました。』
しのぶの忠告に頷き、奥へと進んでいく。
最後の扉まで辿り着き、ゆっくりと扉を開ける。
僅かに開けた隙間から中を覗き込むと、窓辺に腰掛け、外を見ている鬼がいた。
鬼「あぁ、今夜の月は美しい…。
今夜は2人だなんて言わずに3人は食べられそう。」
夜空を眺めている女の鬼の姿は儚く、とても美しく見えた。
『こんばんは。』
し「今日は月が綺麗ですね。」
一瞬で鬼の背後に移動し、左右の耳元で囁く杏としのぶ。
鬼「っ!?っ、鬼狩り!!」
勢いよく後ろを振り返ると、杏としのぶから距離をとる鬼。
『あら。どうなさったんですか??』
し「私たちと仲良くするつもりはないのでしょうか。」
ふふっ、とやわらかく微笑みながら鬼へと一気に距離をつめる杏としのぶ。
鬼「っ、来るな!!」
叫びながら手から何か針のようなものをとばす鬼。
小さく細いその針は肉眼で確認しづらく少し眉をひそめる。