第2章 甘味処〈さくら〉
わめく男を常連客たちが叱りつけ、店の外へ引きずり出す。
客C「ゆりちゃん、こいつは警察に引き渡してくるよ。」
ゆ「ありがとうございます。
よろしくお願いします。」
ペコリと頭を下げるゆり。
まだワァーワァーと喚いている男がだんだんと離れてゆく。
男の声が聞こえなくなる頃、杏は体の力がぬけその場に座り込んだ。
も「杏!!大丈夫??」
突然座り込んだ杏をもみじが慌てて抱き止める。
ゆ「もう大丈夫だからね。」
杏の頭をなでるゆり。
つ「ゆり姉さんは??大丈夫なの??」
男に殴られそうになったゆりを心配していたつばきが尋ねる。
ゆ「ふふ。大丈夫よ、つばきちゃん。
心配してくれてありがとうね。」
何事もなかったかのようにいつも通り微笑み、おっとりとした様子で返事をするゆり。
ゆ「杏ちゃん、落ち着くまで奥で休んでなさい。
もみじちゃん。付き添ってあげてくれる??」
も「任せて、ゆり姉さん。さ、行こう杏。」
ゆりの頼みを引き受け、もみじは杏を連れて奥へ下がった。
ゆ「さぁ、みなさん。お騒がせしました。
営業再開しますね。」