第2章 甘味処〈さくら〉
ぱんっと手を叩き、沈んでいた店の空気を切り替える。
つ「ご注文ございましたら、お呼びください。」
しばらくして、店には元の活気が戻ってくる。
2人で店を回し始めて少し経った頃、もみじと杏が戻ってきた。
つ「杏、もう大丈夫なの??無理はダメよ。」
すぐ杏の状態を確認する。
『うん!!もうだいじょうぶ!!働けるよ!!』
笑顔で返事をし、お客さんたちの方へと駆けていく。
杏も復活し、店はいつも通り繁盛し、みんな笑顔で食事を楽しんでいた。
そう。いつも通り。
変な客が来たことも忘れ、みんないつも通り楽しく過ごしていた。
この当たり前の幸せが崩れ始めていることに気づかずに…。