第8章 無限列車
し「なにか不自然なことでも…??」
暗い表情を浮かべる杏にしのぶが心配そうに眉を下げる。
『……皮膚や衣服の状態を見る限り、この状態になってから2日ほどの方もいれば、一週間以上経っている方もいるみたいなんです。
しかし、汚れているだけで身体の状態は悪くありません。』
し「そうですか…。
実は、こちらでも不可解なことがあります。」
『そちらもですか??』
し「えぇ。…今まで診たのは8人ですが、皆さん特に目立った外傷がないんです。
血が流れていない。」
『外傷がない…??っ、そういえば、他の方々も外傷は見当たりませんでした。
血も………流れていないようでした。』
しのぶは治療する手を止めることなく、杏と共に情報を整理していく。
し「今、皆さんに施しているのは主に解毒です。」
『毒にやられている…ということでしょうか。』
し「えぇ、恐らく…。」
『………しのぶさん。』
下を向き考えていた杏が顔を上げる。
し「杏さん、なにかわかったのですか??」
『もしかしたら、なんですが…。その毒…防腐剤のような作用…ありませんでしたか??』
し「似たような作用はありましたが…。
っ、まさか…。」