第8章 無限列車
すると、
──ザッ
『お館様。』
いつもどおり隊服に羽織を纏い、サイドハーフアップの小さなお団子に杏の花の簪を刺した杏が現れた。
お「杏かい??よく来たね。」
『お館様におかれましても、御壮健で何よりです。益々の御多幸を切にお祈り申し上げます。』
お「ありがとう、杏。」
お館様の言葉を聞き、顔を上げるとしのぶの方を向く。
『しのぶさんもお久しぶりです。』
し「そうですね、杏さん。」
しのぶも優しく微笑み、スッと立ち上がる。
し「お館様、杏さん。
私はここで失礼いたします。」
お「あぁ。待っておくれ、しのぶ。
実は2人に頼みたいことがあるんだ。」
お館様に頭を下げ、しのぶがその場を離れようとするとお館様が呼び止めた。
し「私たち2人に、」
『頼みたいこと、ですか??』
その場に座り、首を傾げる2人。
お「今回は2人に合同任務を頼みたくてね。」
し「合同任務…。」
『承知いたしました。どのような任務ですか??』
目を見開き、小さく呟くしのぶと
行く以外の選択肢などないと言わんばかりの杏。
そんな2人の様子に思わず笑みがこぼれるお館様。