第2章 甘味処〈さくら〉
ゆ「お客さん、申し訳ございませんがお引き取り願えますか??」
客「客を投げ飛ばしておいてなんだその言い草は!!教祖様のところへ連れて行くことがその娘の幸せだと言っているだろう!!」
ゆ「杏ちゃんの幸せは杏ちゃんが決めることです。あなたが決めることではありません。杏ちゃんが嫌がって泣いている、それが私があなたにお引き取り願う理由です。」
ゆりは微笑みを携えたまま、声を荒げる客に対して淡々と告げる。
客「この、クソ女!!」
そんなゆりの態度が癪に触ったのか、ゆりに殴りかかる客。
『ゆり姉さん!!』
つ「ゆり姉さん!!」
も「ゆり姉さん!!」
妹たちも姉の危機に思わず叫ぶ。
客A「ゆりちゃん!!」
客B「あぶないっ!!」
それまでは見ているだけだった客たちも思わずゆりを守ろうと手を伸ばすが間に合いそうもない。
ゆりが殴られる、誰もがそう思った。だか…、
──ドンッ
床に転がっているのは客の方だった。
ゆ「お引き取りください、お客さん。あなたに提供できるものは当店にはございません。」