第2章 甘味処〈さくら〉
客「うるさいっ!!」
つ「きゃっ、」
食い下がるつばきを突き飛ばした客は杏の手を引っ張る。
『きゃあっ!!』
客「さぁ、行きましょう!!
教祖様の所までそう遠くはありません!!」
『やっ、いたいっ!!離してください!!』
涙目になりながら必死に抵抗する杏。
周囲の客たちもなんだなんだと集まりはじめる。
『っ、つばき姉さん!!』
つ「あんずっ!!」
必死に手を伸ばす2人。
客「なぜ嫌がるのです??教祖様の所に行くのがあなたの幸せだというのに!!」
必死に抵抗する杏の手をさらに強く引き、店の外に連れ出そうとする。
『やだっ!!離してっ!!』
引きずられながらもうダメだ、と思いぎゅっと目をつむる杏。
すると、その瞬間、
──ドンッ
客「ぅあっ!!」
厨房からでてきたゆりが杏の手を引き、自らの後ろに下げ、客の体を投げ飛ばした。
『ゆ、ゆり姉さん!!』
後ろで震えながら姉の名を呼ぶ杏。
ゆ「もう大丈夫よ、杏ちゃん。つばきちゃん。」
震えている杏と床に倒れているつばきにいつも通りの微笑みを向けるゆり。