第7章 自覚と覚悟
炭治郎の鼻腔を強い血の匂いが掠めた。
炭「っ!!」
鬼「見ーつけた。」
背後から現れた鬼は炭治郎の顔に爪を伸ばす。
反射的に避けるが、頬を掠めてしまい血が滲む。
炭「くっ…!!」
そのままバランスを崩し、その場に尻もちをつく。
炭治郎の隙を見逃さず、鬼が再び爪を伸ばす。
鬼「しね!!」
炭「っ!!」
炭(だめだ、間に合わない…!!)
思わずぎゅっと目をつむる。
炭「……??」
しかし、一向に痛みは襲ってこない。
おそるおそる目を開けると、
──ボトッ
目の前に自分に向かって伸ばされていた鬼の腕が落ちた。
炭「………え??」
思わず目を見開く。
そんな炭治郎の顔に1つの影がおちる。
炭「…っ、杏さん!!」
顔を上げた炭治郎の目の前にいたのは刀を持った杏だった。
鬼の方を向いているため、どんな顔をしているか確認することができない。
鬼「鬼狩り!!ふざけん…!!」
『なにしてるんですか??』
炭「え??」
喚く鬼を無視する杏。
突然の質問に炭治郎が思わず素っ頓狂な声をもらす。
無視されたことに怒った鬼も声をあげる。