第2章 甘味処〈さくら〉
客「あなたは万世極楽教の信者になるだけの資格をお持ちなのですよ!!青い彼岸花を見たあなたなら…!!」
後半は少し小声になったため、周囲の客には聞こえなかっただろうが、目の前にいた杏の耳にはしっかりと届いた。
『…え??いま、なんて…』
つ「困りますよ、お客さん。」
思わず聞き返そうとしたが、つばきが2人の間に入り杏の手を掴んでいる客の手に自らの手をのせる。
つ「うちの子の手を離してください。それに、店の中での宗教勧誘はお断りさせて頂いております。
どうかお控えください。」
少し微笑みながら客の手を杏から離そうとする。
しかし、客も諦めない。
客「お客様に向かってなんだその態度は!!
私はこの娘を誘っているのであってお前には用はない!!」
さらにグッと力を入れ杏の手を握る。
『っ!!』
痛みに顔をしかめる杏。
痛みに耐えながら、先ほど客が言った言葉を思い出していた。
杏(どうしてこの人が青い彼岸花のことを知ってるの??何年か前に見て姉さんたちにしか話してないのに…。)
混乱する頭で必死に考えている杏。
つ「離してください。」