第6章 蝶屋敷
訓練場にいるのは湯呑みの置いてある机に向かい合わせに座るカナヲとずぶ濡れの炭治郎。
審判を務めるアオイ。
きよ、すみ、なほもアオイの隣で様子を見ていた。
『炭治郎くんだけ…。』
一緒に訓練に参加していた炭治郎の同期である善逸と伊之助の姿が見えない。
今の時間帯はお昼過ぎ。
寝坊ということはないだろう。
『…善逸くんと伊之助くんは折れちゃったか。』
あの2人のいない訓練場はとても静かだった。
杏(まぁでも、折れるなら早いほうがいい。
ここで“全集中常中”を習得できなければすぐに死んでしまう。)
“全集中常中”は柱への第一歩。
この鬼殺隊で生き残るためには、少しでも柱に近づく必要がある。
そのための鍛錬は当然のことながら厳しい。
ここで折れるような覚悟ならば、鬼殺隊はやめたほうがいいだろう。
彼らは先の那田蜘蛛山での任務にいたらしい。
そのときは、冨岡さんやしのぶさんが助けてくださったようだが、いつも私たち柱が助けに行けるわけではない。
彼らを無駄死にさせるわけにはいかないのだ。
杏(でも、炭治郎くん…。
まだ“全集中常中”わかってないみたい…。)