第6章 蝶屋敷
機能回復訓練はおそらく毎日行われている。
もしもあのヒントがわかったとしても、たった9日程度では習得できるものではない。
今も負け続けているだろう。
まだ彼の心は折れていないだろうか。
『やっぱりあの日…話なんてしなきゃよかったわね。』
話をしなければここまで気になることもなかっただろう。
おそらく彼よりも禰豆子のことを考えていた。
『サクラ。』
サ「ナニ??」
仕事をしていた杏の隣にいたサクラ。
『これから蝶屋敷へ行くけど、あなたも行く??』
サ「行クワ!!マダアノ子ニ教エタリナイモノ!!」
『前に言っていた話せない鎹鴉??』
サ「ソウヨ!!」
『それじゃあ、行きましょうか。』
ムクリと体を起こす。
鏡の前で軽く自身の姿を確認し蝶屋敷へ向かう。
『ごめんくださーい!!』
屋敷の戸を開け、大きな声で叫ぶ。
『今日もみんな忙しいのね。』
小さく呟き、人の気配のする蝶屋敷へ入る。
長い廊下を歩き、訓練場の前で気配を消し、扉の隙間から中の様子を盗み見る。
炭「お願いします!!」
カ「……。」
──バシャッ