第6章 蝶屋敷
『大丈夫ですよ。私は私ですから。』
微笑みを崩さない杏。
『そうでした。
私が鬼殺隊に入隊した理由でしたね。』
炭「あ、はい!!」
いけないいけない、と呟きながら禰豆子を抱き上げ、炭治郎の正面に座る。
『私が鬼殺隊に入隊した理由は、お館様の悲願である鬼舞辻無惨討伐のためです。』
炭「え??…自分のためではないんですか…??」
『はい。』
鬼舞辻無惨の討伐はわかる。
炭治郎もそうだからだ。
しかし、彼女は違った。
炭(嘘をついている匂いはしない…。)
スンッと鼻を動かし、匂いの変化をみようとしたが変化はなかった。
わからないという顔をしている炭治郎を見てふふっと笑う。
『私が目覚めてすぐ、お館様は私がなぜ意識がなかったのか、私に何が起こったのか、すべてをお話してくださるつもりでした。
しかし、私に記憶がないとわかると、自分の記憶は自分で見つけたほうが良いと判断なさりました。』
微笑みを携えたまま話していく杏。
『その場にいたのは、お館様、お内儀のあまね様、当時の柱の方たちです。
その方々は私の過去を知っているそうです。
さらに産屋敷家のご子息やご息女も。
炭治郎くんが知っている中ではお館様、岩柱の悲鳴嶼さんですね。』
他の柱の方たちも知ってるかもしれませんが、と付け加える。