第50章 勝利と代償
祈「以前霞柱さまが仰っていたのですが、杏さまは感覚が優れているから、何処かの感覚を奪われても日常生活は問題なく送れる……と。」
音「あと、以前杏さまは常に五感がある状態で闘えるわけではない……と仰っていました。」
2人はそれぞれ思い起こしたそんな言葉たちをしのぶに伝える。
し「たしかに、杏さんは元々の感覚がとても優れています。しかし、それが失われていることに本人が気づかないことがあるでしょうか。目覚めてから今日に至るまで意思疎通で困ることはなかったように思いますが……。」
小さく呟くしのぶ。
祈「ご自身も気づいていない……癖、のようなものだとは思うのですが、杏さまは人と話すときは必ず相手の顔を見ています。」
ア「それは……殆どの人がそうなのでは??」
音「いえ……殆どの人は相手の目を見ることが多いと思います。しかし、杏さまは"目"ではなく、"顔"を見ているんです。戦闘時とかで難しい場合は別ですが……。」
し「つまり、無意識に表情を……いや、唇も見ているということですね。」
しのぶの言葉に祈里も音羽も頷く。