第6章 蝶屋敷
杏は無邪気にすり寄ってくる禰豆子を見ながら呟く。
『禰豆子さんはそのことを覚えてはいないのですね…。』
炭「はい…。」
『ねぇ、炭治郎くん。』
炭「はい??」
俯く炭治郎の名前を呼ぶ。
『あなたは…鬼舞辻無惨が憎いですか??』
炭「っ!!…………はい。」
杏の質問に目を見開きながらも、小さな声で肯定する。
『そうですか。』
炭「……??」
杏の様子に違和感を感じる炭治郎。
炭「…あの、杏さん。」
『どうしました??』
感じた違和感を確かめるべく、意を決して尋ねた。
炭「杏さんはどうして鬼殺隊に入ったんですか??
杏さんは鬼のこと、憎いと思ってない…ですよね??」
『っ!!』
今度は杏が目を見開く。
その際に思わず禰󠄀豆子を撫でる手に力が入った。
禰「ム??」
禰󠄀豆子が不思議そうに見つめるなか、杏は微笑みを貼り直して炭治郎に尋ねる。
『…どうして、そう思うのですか??』
炭「…今まで会ってきた鬼殺隊の方たちは多かれ少なかれ鬼に対する憎悪の匂いがしていました。その中でも柱の方たちは特に強く…。」
『匂い…ですか??』
炭「はい!!あ、俺鼻がいいんです!!」