第6章 蝶屋敷
『これは……。』
禰豆子の思わぬ行動に固まる杏。
炭「す、すみません!!禰豆子!!」
禰「ムー!!」
炭治郎が慌てて禰豆子を引き離そうとするも、禰豆子は杏にしがみついて離れない。
『…どうしたんですか??禰豆子さん。』
しばらく禰豆子をじっと見つめていた杏が自身にくっついている禰豆子の体に軽く手を回し、微笑みかける。
禰「ムー。」
嬉しそうな顔を杏に向ける禰豆子。
杏(…本当にどうしたんだろう。彼女に嫌われるようなことをした覚えはあっても、好かれるようなことをした覚えはないんだけど…。)
とりあえず禰豆子の頭を撫でながら考える。
炭「…禰豆子には人が家族の誰かに見えているんです。万が一にも人を襲わないようにと鱗滝さんが暗示をかけてくれました。」
杏に異常なほど懐いている禰豆子を見ながら呟く炭治郎。
『家族に、ですか??』
炭「はい。…俺たちの家族は、鬼舞辻無惨に殺されました。唯一生き残った禰豆子も鬼に…。」
『そう…。』
炭治郎の話を聞き、再び禰豆子に視線を戻す。
杏(…まるで幼子のよう。)