第42章 集結する力
炭治郎の元へ行こうとしている可能性が高い。
しかし、そうなると禰豆子を求めていた無惨に捕らえられてしまう可能性がある。
もしも禰豆子が捕らえられ、無惨の味方にされでもしたら…。
それだけは阻止しなければならない。
輝「今すぐ禰豆子さんを…」
ただでさえ、無惨との戦いも1時間程残っている状態。
少しでも戦況を変えなければ。
命を張って戦う隊士を守らなければ。
禰豆子を守らなければ。
「禰豆子は好きにさせなさい、大丈夫だから。」
たくさんの焦りからそう言いかけた輝利哉様はその言葉を聞きバッ、と振り返った。
そこには父である先代お館様の鎹鴉がいた。
輝「お前…何故…??」
様々な想いが入り混じる輝利哉様は振り絞るように尋ねた。
鴉「先程耀哉様が目を覚ましました。そして今の言葉を残して再び眠りにつかれた。命に別状はないと思われます。」
輝「父上が…そうか。」
それだけ伝えた鴉はまたすぐに耀哉様たちが眠る部屋へと飛んでいってしまった。
それはほんの僅かな出来事で、現場の鴉たちからの情報処理に手一杯のかなた様とくいな様は鴉の存在に気づいていなかった。
か「お館様!!誰に禰豆子さんを追わせますか!?」
かなた様からの問いに輝利哉様は先程の焦った声とは違い、静かに言葉を紡いだ。
輝「…いや、追わなくていい。」
急に意見を変えた事にかなた様とくいな様が慌てて聞き返す。
か「えっ!?」
く「ですがもし、禰豆子さんが鬼に捕まるような事があれば取り返しがつきません」
輝「その通りだ……。でも…でも…、父上が好きにさせろと言ってるんだ。大丈夫。」
ボロボロと涙をこぼしながら輝利哉様は懸命に言葉を紡いだ。