第6章 蝶屋敷
カナヲに視線を向ける。
カナヲには勝てない。
誰も彼女の湯飲みを押さえることはできないし捕まえることができない。
杏(流石…。これが“継子”。)
鬼殺隊の最高位剣士である柱あるいは元柱にその才覚を見込まれ、次期・柱として直々に育てられる若輩の隊士。
相当才能があって優秀でないと選ばれない。
それぞれの柱が決定権を持ち、育てる人数に制限は無い。
柱と行動を共にして直に修練を受けることができる唯一の存在。
杏(聞いたところによると、カナヲちゃんと彼は同期。一緒にいるところを見ると、あの子たちも同期なのかしら。)
同期でありながら、既にこれほどまでの差。
柱からの直接の指導があるなしではこれほどまでの差がでるのか。
『…私も継子とろうかしら。』
ボソッと小さな声で呟く。
し「あら、いいじゃないですか。」
『こんにちはしのぶさん。お邪魔してます。』
突然、何もないところから現れるしのぶ。
きよ、すみ、なほは少しビクッとしたが、杏は何事もなかったかのように挨拶をする。
し「相変わらず杏さんは驚いてくれませんねー。」