第40章 兄弟
玄「ウヴウゥウウ!!」
杏(やっぱり…完全に鬼化している。より強い鬼を喰べれば効果が上がる鬼喰い。不死川さんの予想通りだったのね。)
今にも杏に喰いつこうとする玄弥だったが、杏は焦らない。
玄弥が喰らいつく、その瞬間に素早く羽交締めにする悲鳴嶼。
悲「音白、頼む。」
『ありがとうございます。』
動けなくなった鬼となった玄弥の頸元に注射器を差し、薬を注入する。
玄「ゔあぁああああぁ!!」
悲「くっ、」
すると、薬の苦しさからかさらに激しく暴れ出す玄弥。
──ガシッ
流石の悲鳴嶼も自身の傷もあり、苦しくなってきたところにもう1人が玄弥を抑えた。
『不死川さん…!!貴方傷が…!!』
隣で意識を失っていたはずの不死川だった。
不「玄弥…!!頑張れェ!!玄弥ァ!!」
懸命に呼びかけながら暴れる玄弥を押さえつける。
すると徐々に力が抜けていく玄弥。
次第に寝息を立てて寝始めた。
それを確認した一同はそっ、と手を離す。
それでも暴れる様子がないためゆっくりと寝かせてやる。
苦しそうな表情をしながら眠るその額には大量の汗をかいており、体温がかなり高い。
その様子を心配する2人の視線に杏は額の汗を拭ってやりながら答える。
『身体の中で薬と彼の細胞が鬼の細胞を倒すために戦っているそうです。この高熱はそのためだそうです。後は玄弥くんを信じるしかありません。』
悲「そうか…。時透はどうだ??あの薬とは…」