第40章 兄弟
気を失って動かなくなった不死川の体を寝かせながら、悲鳴嶼は動かない杏へと声をかける。
悲「音白、君は大丈夫か??」
『は、はい…。傷は縫えば…足も…動きます。』
そう言って動き出す杏を見て安堵のため息を漏らす。
悲「そうか。よかった。」
そして意識のない2人を見る。
悲(玄弥…時透…。)
すると、そんな悲鳴嶼へ話しかける声が聞こえてきた。
玄「悲鳴…嶼…さん…。兄貴は…時透さん…は…音白さんは…」
その声に、悲鳴嶼は慌てて玄弥の元へと駆け寄った。
悲「私達は生きている、大丈夫だ。時透は…時透は…。」
『大丈夫ですよ、玄弥くん。君は見たでしょう??今あの薬を打ってきましたから無一郎くんも、不死川さんも大丈夫です。』
身動きの取れず状況を把握出来ない玄弥は、時透の身を案じて言葉を続ける。
玄「よかった…。」
悲鳴嶼は涙を流しながらも、師として仲間として彼のために出来る最後の行いを静かに考え始めた。
『悲鳴嶼さん、不死川さんを彼の隣に…お願いします。』
そう言ってフラフラと歩いていく杏に首を傾げながらもこれがこの兄弟のために、自分ができる最後のことだと考えたのか、すぐに行動に移す。