第38章 柱の矜持
黒死牟の刀の変化に目を見張りつつも、不死川は自身の体の異変を感じ、視線を下へと下げた。
──ズ…
刀を握る右手の人差し指と中指。
──ボトトッ
その2本が地面へ落ちた。
その落下音で指を斬り裂かれた事に気づいた悲鳴嶼思わず声をあげた。
悲「不死川!!」
不(くそっ!!くそっ!!殆ど反応出来なかった!!悲鳴嶼さんが鎖で攻撃の軌道を変えてくれなけりゃ指どころか両腕共落とされた!!畜生ッ!!負傷すればする程動きが鈍くなる。足を引っ張ることになる。稀血も殆ど効きゃあしねぇ。強い鬼にこそ効くはずなのに!!くそったれめ。しかもあの馬鹿長ェ刀をとんでもねぇ速度で振りやがって化け物が。)
そんな思いと重なるように溢れ出す不安。
不(次は避けれるか!?斬り込めるか!?)
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そんな緊迫した戦いの上空。
兪史郎の血鬼術が施された紙を付けた1羽の鎹鴉が飛び回っていた。
その鎹鴉の付けている眼は、遠く離れた産屋敷邸にいるくいな様へと繋がっていた。
誰の目から見ても最悪の状況。
堪えられなくなったくいな様がを開いた。
く「……き、輝利哉様。上弦ノ壱の元へ他の柱を向かわせますか??冨岡義勇、竈門炭治郎の2人は行けます。」
輝利哉様からの指示を待つ妹達。
緊張感漂う部屋の中で、輝利哉様は静かに口を開いた。
輝「いや。義勇、炭治郎はそのまま無惨の元へ。上弦ノ壱は行冥と実弥、杏、無一郎と玄弥の5人が必ず倒す。」
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