第38章 柱の矜持
即答した悲鳴嶼に黒死牟は目を見開く。
黒「知って…いたのか…。」
すると、今度は悲鳴嶼が話し始めた。
悲「例え痣が出なかったとしても鬼殺隊である限り明日の命の保証はない。何を今更、己が命など惜しもうか。そのような生半の覚悟で柱になる者などおらぬ。甚だしき侮辱。腸が煮えくり返る。」
普段から温厚で怒りを露わにすることの少ない悲鳴嶼の額に憎悪により青筋が浮き出る。
黒死牟はそうではないと首を振る。
黒「命云々のつまらぬ話をしているのではない……。鬼となることで肉体の保存…技の保存が出来るのだ…。何故それが分からぬ…愚かな…。」
悲「分かるはずもなし。我らは人として生き、人として死ぬことを矜持している。貴様の下らぬ観念を至上のものとして他人に強要するな。」
悲鳴嶼も間髪入れずに言い返す。
悲鳴嶼から放たれた迷いのない言葉に黒死牟の饒舌だった口が止まる。
黒「ほう…。」
そんな中、あることに気づいた悲鳴嶼再び口を開いた。
悲「今、話していて気づいたがお前は1つ虚偽を述べたな。」
黒「ふ…何を言う…私は何1つ偽ってなど…」