第38章 柱の矜持
3人が闘い抜く決意を固めているなか──…
上弦ノ壱と対峙している行冥の両の腕に地割れの様な紋様の痣が浮かび上がっていた。
そして、行冥の痣を見た上弦ノ壱はゆっくり口を開いた。
黒「そうか…お前も…痣の者…残念だ…。」
その言葉に納得のいかない悲鳴嶼は武器を構えながらもその意味を問いかけた。
悲「残念とは??」
黒「見たところ…お前の…年の頃合いは…27、といった辺りか…。」
悲「それが何だ。」
──ブンブン
話を聞きながらも、悲鳴嶼は最初に見せた時のように鉄球の繋がっている鎖を持ち、振り回し始める。
黒「喪失を…嘆いている…。痣の者は“例外なく”…25の歳を迎える前に死ぬのだ。痣を出現させ…力を向上出来たとしても…所詮それは、寿命の前借りに過ぎない…。お前は二十五を越えて痣を出した…。今宵のうちにも死ぬだろう…。」
悲「……。」
悲鳴嶼は武器を振る手を止めることなく、ただ静かに話を聞いている。
そんな悲鳴嶼へ黒死牟は話を続ける。
黒「これ程までに研鑽し、極められた肉体と技が…この世から消えるのだ…。嘆かわしいと思わぬか…。」
悲「思わない。その話も、痣の者達は既に承知済み。」